下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
駅へ向かって歩く隣の榎本くんは手を繋いでくれるのに、その左手に感覚はなくて。


信号待ちで眺める車が行き交うのと同じに、わたしの気持ちも交差する。


青になった歩道を前に進もうと2人で足を前に出した瞬間、行く手をはばむように一台のタクシーが止まる。


車から降りてきたその人は…下村係長…。


「行こ、加奈ちゃん」


榎本くんが手を引いてくれるけど、わたしは動けない。


「待てよ、榎本」


「すいません、これからボクら、デートなんで。ね?加奈ちゃん」


「カナに何をした?」


「加奈ちゃんから直接聞いたらどうですか?どうせボクの言葉なんて、聞き入れてくれないんだから」


「カナ」


「………」


「ちゃんと話せ」


「えっと…ご飯とワインで少し酔って…キス…しました」


「それから?」


「パジャマ着て…眠って、朝まで…」


「ヤったのか?」


ううん、て首を振るのに、係長の疑いの眼差しは消えない。
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