下村係長と同期の榎本くんの、シェア彼女…!?
④甘いキスの初夜
何もなかった土日を切り替えて、月曜、出勤。


自分のデスクに着席するなり、高島部長に呼び出された。


「阿藤さん、今日から営業部に行ってもらうから」


「はいっ!?」


「営業庶務の仕事はそのまま引き継いでやってもらうんだけどさ、デスク、午前中のうちに引っ越し済ませてもらえる?」


「あの…突然、どうして…?」


「上からのお達しだし、アレじゃないの?下村係長に随分気に入られてるみたいだしさ。阿藤さんて仕事の方はさっぱりだけど、色仕掛けに関しちゃ…」


「セクハラですか?それともパワハラ?」


後ろの声に振り向くと、あからさまに不機嫌な下村係長が立っていた。


「あ…っ!下村係長、お、おはよう。いや、今のはちょっとした冗談のつもりで、さ。悪意はないよ、これっぽっちも!」


「二度と。阿藤に二度とそんなくだらねぇ通じない冗談とやら、言わないでもらえますか?貴重な人材潰しはやめてもらいたいですね」


「潰すだなんて、そんな大袈裟だな~。いや、ウチとしてもお荷物…じゃなくて、阿藤さんのデスク1つ減るだけで心細くなるな、ってさ」


「阿藤には高島部長に対しての社内苦情カードをあげさせますんで。行くぞ、阿藤。荷物をまとめろ」


「は、はいっ」


わたしのデスクの横には下村部長が持ってきてくれたのか、すでに台車と段ボールがいくつか積まれていて、その箱にさほど多くもないファイルや資料、パソコンなんかを詰めていく。
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