こんな私が、恋したみたいです。
「りっくん、見てこれー」



「だから何回も見た」




ベタベタ媚びてくるやつ、あんま好かないよ。




りっちゃんみたいに、こっちが媚びないといけないぐらいにズバズバしててほしいんだ。



「ほら、りっちゃんが抱きついてる!」



「確かに」



俺がビビって、抱き返せなかった時のやつ。見張ってたとか気味悪いけど。



「りっちゃんはー、りっくんがりっちゃんのこと好きって知っててー、自分はなんとも思ってないのに抱きついて気持たせてー、すんごーい性悪なやつなんだよー、って流せばどう?」



「お前、最悪かよ」



「でしょ」




どこまでも性格が悪い。よくもまあこんなこと考えたもんだ。



「ほら、早く関わんないって言わないと、投稿ボタン押しちゃうよ?」




すでにSNSの投稿直前の画面まで進んでいて、あとは1回クリックするだけ。



それだけで、りっちゃんはまた嫌われ者になっちゃうんだ。



俺のせいで。もっといろんな人に。



「…わかったよ」



じゃあ、俺が関わんなきゃ、我慢すれば、いいんじゃん。


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