結婚の約束をしよう
「うぇっ…陵ぉー…っ……うっ…うぅ。」

私は、気づいてしまったから…。

憧れの石崎先輩は、本当に憧れの先輩でしかなかったということに。

ドキドキしたり、緊張したり…そんな気持ちも全部、恋愛感情のそれとは違っていた。

陵に対して感じた気持ちが何なのか、気づいてしまったから。


「うぅ…っ。」

それなのに、その全てが夢だったというの?

そんな訳ない…そんなはずない……。

お願い、どうか居て…陵!

私はまだ、何も伝えていない。

気付いたばかりの気持ち、陵のことを好きだという気持ち。



陵の家は、私の家の3軒隣ーーー私は息を整えながら、何とか気持ちを落ち着かせようとした。

私の家を通り過ぎて、笹野と書いた表札に辿り着くけど、もうずっと人が住んでいるような気配はしていなかった。

「…。」

震える指で、祈りを込めてインターホンを押す。

………

………あれ?

故障かな、何回押してもインターホンがその音を出し、私が訪ねて来たことを伝える事はなかった。

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