火恋 ~ひれん~
 あと2日を残してお正月休みも終わる。
 こういう長い休みでもなければ旅行も行けないとは思うけれど、独りで出掛ける勇気はまだ無い。もう少し歳を重ねたら変な拘りも消えそうな気がする。そうしたら屋久島と知床半島は行ってみたい。学生の頃からのささやかな夢。

 現実は初売りのバーゲンに行ったぐらいで、後はいつもはやらない掃除とかカーテンの洗濯とか。
 恋人が普通のサラリーマンだったら初詣に行ったりデートしたり。普段は限られた時間が無限に感じられて、きっと嬉しくて楽しいわね。それを羨ましく思わない。・・・というのが1つ目の法則かしら。
 朝から灰色の雲に覆われている空をレースカーテン越しにぼんやり眺める。
 2つ目は、自分が逢いたくても・・・逢えないって法則。
 都合のいい女。そういう言葉も頭に浮かぶ。でも。最初から彼は言った、わたしの望むことは何も出来ないって。
 想いはここに在る。2人分を抱いてわたしはこれまで通り、自分の日常を生きてくだけなんだわ。・・・これが3つ目の法則。

「・・・コーヒー入れて小説でも読もうかな」

 最近はパソコンでネット小説を探すのがマイブームだったりする。
 恋愛もの、ファンタジーもの、プロの作家さん顔負けの才能を発揮している作品も多い。エアコンの暖房で温もった部屋でのんびり午後の読書タイム。一人だからできる贅沢、・・・とわざと鼻歌雑じりにキッチンに立ち、電気ポットのスイッチを入れた。 
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