火恋 ~ひれん~
バスと電車の都合で野乃ちゃんと果歩ちゃんは少し早めに引き上げた。
会計を済ませ、海鳴り亭の外で残りの三人も解散する。
「織江ちゃん、大丈夫? アパートまでついてった方が良くない?」
呼んだタクシーを待つ由里子さんに付き合い、寒空の下で二人。
彼女の口からその話題が出た事で、思い切る。
「あの由里子さん」
「んっ?」
もしかしたら、少し思い詰めた表情だったかも知れない。
真顔になった由里子さんは「どうかしたの?」と心配そうにわたしを覗き込んだ。
「・・・・・・わたし引っ越したんです」
「えっ? そうなの?! あ、そうだよねっ、やっぱり気持ち悪いもんね! うん、その方が良いわよ絶対!」
「ごめんなさい勝手に。由里子さんには色々してもらったのに・・・」
「いいの、いいの! 織江ちゃんは何も悪くないんだから。で、今度はどの辺にしたの?」
屈託のない由里子さんの笑顔に。バッグのショルダーベルトを握る指に力が篭もる。
「・・・・・・その、・・・渉さんのマンション、・・・です」
渉という名をどこかで聞き覚えがある、とでも言いたげな顔付きで。
次の瞬間。
「相澤君~っっ?!!」
ちょっと待ってちょっと待って、と由里子さんはわたしをまじまじと見つめる。
「あの」
由里子さんに何を言われるかと堪えきれず、言いかけたのを遮られた。
「織江ちゃん、ストップ」
彼女はコートのポケットからスマートフォンを取り出すと、素早い操作をし耳に当てる。
コールを待ってやっと相手が出たのだろうか。
「ちょっと相澤君っ?! あたしの大事な織江ちゃんに何しちゃってくれてんのよーっっ」
会計を済ませ、海鳴り亭の外で残りの三人も解散する。
「織江ちゃん、大丈夫? アパートまでついてった方が良くない?」
呼んだタクシーを待つ由里子さんに付き合い、寒空の下で二人。
彼女の口からその話題が出た事で、思い切る。
「あの由里子さん」
「んっ?」
もしかしたら、少し思い詰めた表情だったかも知れない。
真顔になった由里子さんは「どうかしたの?」と心配そうにわたしを覗き込んだ。
「・・・・・・わたし引っ越したんです」
「えっ? そうなの?! あ、そうだよねっ、やっぱり気持ち悪いもんね! うん、その方が良いわよ絶対!」
「ごめんなさい勝手に。由里子さんには色々してもらったのに・・・」
「いいの、いいの! 織江ちゃんは何も悪くないんだから。で、今度はどの辺にしたの?」
屈託のない由里子さんの笑顔に。バッグのショルダーベルトを握る指に力が篭もる。
「・・・・・・その、・・・渉さんのマンション、・・・です」
渉という名をどこかで聞き覚えがある、とでも言いたげな顔付きで。
次の瞬間。
「相澤君~っっ?!!」
ちょっと待ってちょっと待って、と由里子さんはわたしをまじまじと見つめる。
「あの」
由里子さんに何を言われるかと堪えきれず、言いかけたのを遮られた。
「織江ちゃん、ストップ」
彼女はコートのポケットからスマートフォンを取り出すと、素早い操作をし耳に当てる。
コールを待ってやっと相手が出たのだろうか。
「ちょっと相澤君っ?! あたしの大事な織江ちゃんに何しちゃってくれてんのよーっっ」