地獄の沙汰も裁判次第?
恵魔が居た部屋の隣には、30畳程の部屋がある。しかし広くは感じない。
広い室内にはひしめくようにして多くの亡者が待ち構えていた。



「おたく、どうやって死んだの?――俺?俺はさあ、バナナに足滑らせてポクッと逝っちまったのよ」

「今時そんな子もいるんだねぇ……」

「三宅の婆ちゃんは老衰だろ?一昨日葬式出たから覚えてるよ」

「………お母さんどこ?」




明るく笑う者も居はするが、ほとんどの亡者たちは陰欝な表情でじめじめとした空気を放っていた。
それもその筈、彼らは死んだのだ。

しかしそんな湿った空気を一変するような出来事が起きた。




――バタン


「裁きに来たぞ亡者ども!!」

「恵魔様……お静かに」



二人が、部屋に入って来たのだ。

恵魔は室内を軽く見回すと近くに居た子鬼にいくつか耳打ちする。子鬼は嬉しそうにその言葉に耳を傾け、全て聞き終えると他の子鬼と共に亡者を外へ導き始めた。


一人は、一番右のドア。
一人は、一番左のドア。
一人は、真ん中のドアへ。



子鬼らが満足そうに、仕事が終わったとばかりにため息を吐いた時、室内には恵魔と和成と子鬼たちと、それから幾人かの亡者だけが残った。
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