リアルな恋は落ち着かない
「・・・で、この音響モデルを変更して、この・・・言語モデルを調整します」

「はい」

「これで、音声を認識する確率がかなり変わってきますので・・・」

いざ、まりんちゃんとの仕事が始まると、五十嵐くんは本当につきっきりの状態だった。

自分の隣に彼女を座らせ、何やらずっと説明している。

嫌だと言ってはいたけれど、基本真面目な五十嵐くん、引き受けた仕事はきちんと勤め上げるのだ。

そして私は。


(・・・気になる・・・)


そんな彼らを、気にせずにはいられなかった。

自分の仕事をしながらも、チラチラ横を向いていた。

けれど、気にしているのは私だけではないようで、みんなそわそわ落ち着かないよう。

とはいえ、私のように二人の関係性を気にしているわけではなくて、単純に、まりんちゃんとテレビカメラの存在を気にしているようだった。


(ずっと撮影してるわけじゃないけど・・・。気になるよね)


トップアイドルがいる職場。

見慣れない機材や人々。

いつもと違う職場環境は、やっぱり落ち着かないものだった。

「・・・すみません。ここからは集中したいので。しばらく見ててもらえますか」

途中、五十嵐くんはまりんちゃんに声をかけ、カタカタと無言でキーボードを打ちはじめた。

静かになった二人の空間。

私はまた、五十嵐くんをチラリと横目で見てしまう。
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