リアルな恋は落ち着かない
「大丈夫ですか、橘内さん」

見下ろす視線は、心配そうに揺れていた。

目が合って、私はドキリとしたけれど、すぐに視線を逸らしてしまった。

「うん・・・大丈夫」

「・・・顔色、よくない気がしますけど」

「そ、そうかな・・・。でも、大丈夫だよ。ただの貧血みたいだし」

「・・・みたいって・・・。心配だな」

表情を曇らせて、私の顔を覗き込む。

近づいた距離に、身体は一気に火照りだす。
 
「五十嵐」

そこへ、制するような課長の声。

五十嵐くんは、かがめた身体をすぐに起こして、課長の方へ向き直る。

「・・・なんですか」

「倒れてさ、心配するのもわかるけど。その前に、もっとちゃんとしてやれよ」

「は?」

「お前には頭が上がらないから、あんまり強く言えないけど。橘内さん、大事にしろ、ちゃんと」

「・・・」

五十嵐くんは、鋭い目線を課長に向けた。

そして怒りを込めた口調で言う。

「そんなこと・・・。なんで課長が言うんですか」

「気になるからだよ」

「は・・・?気になるって・・・」

火花を散らす雰囲気で、五十嵐くんと課長が怖い顔で睨み合う。

私は口を挟むことも憚られ、どうしようかと思っていると。

「橘内さーん!」

ノックもなしに、突然ドアがガチャリと開く。

現れたのは美瑠久ちゃん。

目が合うと、「きゃー!」と言いながら、すごい勢いでベッドサイドに駆け寄ってきた。
< 201 / 314 >

この作品をシェア

pagetop