春色の輝き
「なんで?」
亮ちゃんは、また、ちょっと顔を赤くして、
「なんでって。それ聞く?」
だって、理由が分からないんだもん。
「……っ。なんでって、そのままの意味なんだけど。叶哇が、誰かに取られるかと思ったから……じゃん?ってか、こんな事言わせんな。ばーか。」
亮ちゃんの顔が真っ赤だ。
こっちまで照れてくる。
そんなに、真っ直ぐに言われたら……顔が赤くなっちゃうよ。
「きっ、聞いた本人が照れてんじゃねーよ。」
そーゆー亮ちゃんだって、照れてるじゃん。
「ふふっ」
私は笑いをこらえきれなくなった。
「何、笑ってんだよ。」
亮ちゃんが、私にたずねた。
「だって、2人してさ、顔赤くして、照れてさ……。ふふっ笑っちゃうじゃない。」
ダメだ。
1度笑ってしまったら、もう止まらないんだから。
「ははっ。確かにな。」
それから、電車が来るまで、2人で笑った。
「あ、電車、来たよ。」
電車が近づいて来る音がうるさい。
でも、少しだけ聞き慣れた音。今まで、病院にいたから。久しぶりだな。
入学式以来だ。
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