東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット



貸し切りの体育館には部員以外の人間はいなくて……ここぞとばかりに抱き合う姿がちらほら。



誰が持ってきたのか酔っている先輩までいる始末だし。



「綾ちゃん、辞めちゃうのかよぉ……寂しいよ」



って、そんなサラリーマンのオヤジ風に絡まれても!!



ううん、本当は分かるんだ。



自分達だって今日で終わりで、明日からが不安で不安で仕方の無い事。



自由な恋愛が解禁された所で、次に待っているのはサッカーの為におろそかにした勉強地獄で……それはきっと楽しくなくて。



今を惜しむように、私達はずるずるとそこに座り込む。



亮先輩やキャプテンの輪の中に入れないまま、他の先輩と短い思い出話をしていると……



「綾ちゃん、ちょっといいかな?」



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