見えちゃうけど、好きでいて
「あの時の人、ですか?」

「あの時?」

男は、眉間にしわを寄せている。

「あの、ほら、覚えてませんか?」

季衣は、男に近づいてペタペタと体を触った。

露骨に嫌な顔をした男は、ふといつかの夜を思い出した。
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