【野いちご版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
月瀬と出会ってからの一は、本当に変わった。


以前の一は、素顔を隠したチャラ男。

だけど、現在(イマ)の一は……

誰がどう見てもわかるぐらいの一途な男で、


今の一言も、月瀬に余計な気づかいをさせないためだろう。



(まっ、無理もないか)


(それにしても……)



俺は一から月瀬に視線を移して、



(あれ。ある意味…"束縛"ってわかってんのか?)



お互いの"タイ"を交換した上に、

わざわざ自分の"イニシャル"が見えるように結び直した一。


それなのに、そのことには全く気づいていない様子の月瀬。



そんな二人の姿を見ていて、思わず胸の内で苦笑が漏れる。



「イチャイチャしてないで、早く帰れよー」



それでも俺は二人へそう言い残し、その場に背を向けた。



お互いが引き出し合っているであろうその表情に、

ホワッと、心をあたたかくさせて……




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