まだ恋は始まらない
物凄い勢いでトイレに駆け込み、泣くのを必死で我慢する。

何なの?何なの!?

「もう、やだ・・」

緊張が解けてしゃがみ込み掛けたけど、ココがトイレだと思い出して洗面台に手を付いて踏ん張った私は偉い!

急いで髪を三つ網にした後お団子にしてメガネをかける。

あぁ、もう大丈夫だ。

いつもの格好になると安心出来る。

どの位気を失っていたのか分からないけど、早く業務に戻らなきゃ。

慌てて部署に戻ったけど、資料室に行く前と特に変わりは無かった。

私一人が、居なくなろうと誰も気付かないよね。

ホッとして仕事を始めたら、さっきの出来事が頭から消えていった。

流石に、向こうも忘れていると思っていたのだけど。
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