まだ恋は始まらない
この緊張感に耐えられなくて顔を背けたんだけど、腕、水口修也の思ったより逞しい腕が目に入りまた緊張する!

「あの!お、お願いですから!退いて下さい!!」

あぁ段々酸欠になっていく気がする。

そんな事を考えながら、必死で両手を水口修也の胸に押し当てて、押し返そうとするんだけど、全然押し返せない。

段々怖くなって涙が浮かんできた私を見て、やっと退いてくれた。

「め、メガネ!」

何とか起き上がって、目を潤ませながら、睨む私に驚いた顔をしていたその隙に、持っていたメガネを奪って資料室を後にした。
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