窓の外は晴れ




テーブルに出来立てのシチューとサラダ、パンを並べる。冷えたボジョレーヌーボーに、生ハムとチーズをつまみに…

「戴きます」グラスにボジョレーヌーボーを注ぎ、乾杯をした





美「…今年のボジョレーヌーボーはどう?」



富「…少し薄いな。でも悪くはない、爽やかで飲みやすい」




私は納得しもう一口、口に含んだ




富「美織はいつまで経っても、ワインの味がわからないんだな」



富田は笑いながら言った









円衣裕太が引退し、消息不明になったあの年から…
もう、10年もの月日が経っていた




美「いつの年のボジョレーヌーボーが1番好き?」




私の質問に富田は目を閉じて考えた。




富「…そうだなぁ。
やっぱりあの年かな…」



美「私も…。あの年のボジョレーヌーボーは最高だった」





言葉には出さないが"あの年"とは、円衣裕太が引退した年。

私と富田が初めて2人でボジョレーヌーボーを飲んだ、あの年



< 132 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop