迷走女に激辛プロポーズ
そんな踏んだり蹴ったりの三日後、八月七日、佑都と恋人期間という名の付き合い期間を設けて一か月、「遅くなる」と言っていた佑都が、午後十一時過ぎに帰宅した。

そして、私の顔を見るなり不機嫌な声で言った。

「明日、結婚宣言をする」
「誰と?」
「お前以外の誰とだ!」
「誰でしょう?」
「これ以上口を開くな!」

だが、口を開くなと言われたが、やっぱり開く。

「ねぇねぇ、冗談でしょう? 嫌がらせで言っているんでしょう?」

そう、これが本気だとしても、どうして苦虫を噛み潰したような顔で結婚宣言の件を宣う? 本来、これはスウィートなものだろ? 違うのか?

「フン、今更だな。予定していた通りだ」

予定……と考え、そうだったと思い出す。

「あれは、あの場の乗りで言ったんじゃなかったの?」
「イヤ、本気だった。お前も大丈夫だと言ったじゃないか」

エッ! 覚えていたの、と心の中で盛大な舌打ちをする。

「あれは、むせて、ゴホゴホが大丈夫だと言ったのあって……」
「真相はどうあれ、否定しなかったのだから、お前も同意したとする。予定を変えるつもりはない」

同意した覚えのない私の意思は無視?

「横暴! こんな大切なこと一人で決めないでよ」

グラスを握り締め、俯く私の横に佑都が座る。そして、呟くように言う。

「お前、俺の見合い予定だった奴と会っただろ」
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