迷走女に激辛プロポーズ
放心状態の私をよそに浮かれた様子の清香と遥香。

「業界でTOP3と言われるエステシャン、確保したわよ!」
「もうですか! 流石、清香様、伊達に美、飾っていませんね!」

遥香の言葉に清香は当然という顔をする。

「ところで白鳥課長ってば、あんな顔できるんですね。能面のような笑みしか見たことなかったのですが、さっきのは本物でした」

どうやらあの柔らかな瞳を、遥香は見逃さなかったらしい。

遥香の言葉に、佑都の頬がうっすらピンク色に染まる。
絹肌美白がピンクに染まれば、あまりの美しさに目を惹く。

案の定、希少美を目にしたギャラリーから、キャーッの歓声が上がり、カシャカシャとうるさいほどシャッター音がをする。

その途端、訳の分からない感情が噴き出し、全身の血が逆流する。
頭の奥で誰かが怒りの声を上げる。佑都を見ないで……と。
そして、悲しみの雨が降り出す。私しか知らなかったのに……と。

蟻地獄……出口が見えない……複雑に絡んだ感情……もつれる。
スックと立ち上がると彼の手を取る。
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