あなたとホワイトウェディングを夢みて

 会社近くのアパートまで歩いて帰る途中、久しぶりに美味しい惣菜を買って帰ろうと、繁華街の方へと足を向ける。
 繁華街の少し手前にある、駅前の高級ホテルのすぐ近くの惣菜屋。そこの美味しいと評判のカレーコロッケを食べたくなって、留美はその店へ向かう。
 丁度、駅前へ差し掛かった時、高級ホテルのエントランス前にリムジンの様な黒塗りの高級車が停まる。

「凄い車。どんな人が乗ってるのかしら?」

 博物館並みの品位あるホテルの建物の中へと、車から降りてきた男女が入って行く。
 きらびやかなドレスを着た女性をエスコートするスーツ姿の男性。まるでレッドカーペットを歩く外国の俳優と女優の様な豪華さに留美が見惚れる。
 恍惚として見ていると、男性の後ろ姿が誰かに似ている気がした。

(あのゴージャスな女性の恋人かしら。素敵な人だわ……でも、見た事あるような? 芸能人?)

 建物の中へ完全に入って行く前に、男性が振り返って道路の方を見た。これはチャンスと留美がその顔を拝むと、その男性とは留美の良く知る男だった。

(せ、専務?! 得意先って女とデートする事だったんだ。ふーん……あの女とね……)

 郁未の姿を見て熱が冷めると、留美は惣菜屋へと急ぐ。そして、店へ入るなり店員に『カレーコロッケ3個!』と、大声で叫んだ。
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