あなたとホワイトウェディングを夢みて

 ホテルの客層を考えれば、郁未の言葉を鵜呑みに出来ないが、それでも、手を握りしめられていると自分の姿に自信もつく。頬を薔薇色に染めた留美が恥ずかしげに僅かに俯いていると、エントランスの回転ドアからやって来た、郁未に負けず劣らずの長身のイケメンが声をかけてくる。

「やあ、待たせたね。そちらは初顔だね?」

 周囲の客がハリウッド張りの俳優ならば、声をかけてきた男性や郁未は日本を代表するイケメン俳優と言っても過言ではない。そんな二人のオーラに引きつけられるように、周囲の女性客らの熱い視線を集める。

「いや、今来たところだ。彼女は佐伯留美だ」
「よろしくね、留美ちゃん」

 郁未に紹介されると、ペコッと頭を下げて『よろしくお願いします』と挨拶した留美。
 郁未に劣らずその男性のセクシーな声に留美が頬をピンク色に染める。

「俺は戸田聡。聡でいいよ。君、可愛いね」

 握手をしようと聡が手を差し出すが、つないでいた手を離した郁未が留美の背中に腕を回し腰を抱き寄せた。そして、にっこり微笑んで『愛らしいだろう』と自慢げに言うと聡が『ふ~ん』と意味深な反応を示す。

「新しい恋人かな?」

 如何にもプレイボーイの郁未に対する質問だと、留美の胸がチクリと痛むと、郁未が留美の頬へ顔を寄せて囁く。

「最初で最後の恋人だ」
「え?」

 聞き間違いかと留美が呆けていると、頬にチュッとキスされた。
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