あなたとホワイトウェディングを夢みて

 郁未の形相に聡が一瞬引くと、それを見た留美が微笑んで言う。

「今更隠さなくてもダーリンの事は十分知っているわ」

 まるで自分の女性関係がふしだらと言われている気分の郁未は、留美の手を更に強く握りしめて言い返す。

「何を知っていると言うんだい、ハニー?」
「あら、いいの? 私達二人だけの時に話した方が良くないかしら?」
「二人っきりになって聞きたいな。できれば君が温めてくれるベッドの中でね」

 微笑みながら二人が見つめ合うテーブルの下では、力任せに握りしめる郁未の手を払いのけようとする留美との攻防戦が繰り広げられている。
 どんなに優しく振る舞っているようでも、郁未は郁未なのだと留美は郁未の本質を見た気がした。折角ドレスアップして、郁未の素敵な装いの前で他の女同様の気分を味わっていた留美だが、本性見たりと気分は最悪に。
 それに強く握られる手からはなかなか解放されず、半ば諦めかけた頃、すんなりと郁未の手が離れていく。

「さあ、ワインで乾杯しよう。久しぶりの悪友との再会に。そして可愛い留美ちゃんとの出会いに」

 聡の言葉で留美も郁未も自分の前にあるワイングラスを手に取り掲げる。『乾杯』と声を揃えるとそれぞれワイングラスを口元へ運ぶ。
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