あなたとホワイトウェディングを夢みて

「美味しい、なんてまろやかなの」
「ブルゴーニュのワインに匹敵するワインだからね」
「それってボルドーですよね」

 ワインなど無縁の庶民である留美なのに、聡とワインの話題で話が盛り上がると、郁未がまたもや不機嫌になる。
 すると、再びテーブルの下で郁未が留美の手をギュッと握りしめる。
 留美が郁未の顔を見ると、郁未はプイッと留美から視線を逸し、手は留美の手に覆い被せ指と指の間に自らの指を挟み込む。
 交互に指が重なると、流石に簡単には振り払えない。それどころか、絡まる指から郁未の熱が伝わり、留美の体内にその熱が流れ込んでくるようだ。
 郁未の手の温もりに気を取られる留美は、聡との会話に集中できない。
 今度は振り解こうにも簡単には郁未の手は離れず、この温もりが留美は擽ったくもあり、何故か嬉しくもある。
 恥じらいで顔を俯かせた留美が、上目遣いで郁未の顔を見て『やめて』と懇願する。けれど、その角度と表情が郁未をそそらせる。

「ねえ、二人して見つめ合って何しているの? もしかして、もうベッドへ行きたくなった?」

 『違う!』と、同時にハモってしまった二人。
 しっかり息があっていると、顔を見合わせて頬を薔薇色に染めたお互いの顔を見合う。
 二人の初々しい様子に当てられた聡は『ちょっと失礼するよ』と席を立ってしまった。
 『すぐ戻るよ』と言って聡が部屋から出て行くと、何故か部屋の照明が一段落とされ薄暗くなる。しかし、恋人同士の夜にはムードある雰囲気が漂い、胸の鼓動が速まりそうだ。
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