狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
ところが。

「はわわわ……リ、リーダー。
イッパイ人間のヒトがイラッシャイマスよ…」

「落ち着け赤野。まずは普通に喋りなさい」

今回の日程はタイトに組まれている。
会場のホテルに到着すると、いくらも時を置かず、すぐに本番が始まった。

てっきり、卒論発表みたいなこじんまりしたやつだと思っていたら、その会場はずっと豪華な結婚式場みたいな大広間だった。

前に大きなスクリーンが準備されている。

既に席は、取引先の担当者やらで半分が埋まっている。重役さんと見える恰幅のよい人もいる。

恥ずかしいことに舐めきっていた私は、発表者でもないのにすっかりあがってしまっていた。

と。
カッチカチに固まっている私の背中に、大神さんはパシリと気合いを入れた。

「イテっ…何をっ」

「大丈夫、昨日と同じにやればいい」
 
驚いて振り返った私に、彼が力強く笑って見せた。

「頼りにしてるから、な?」
丸めた読み原稿で、ポフンと軽く頭を叩く。

頼りにしてる……リーダーが私を?


社会の先輩、上司の言葉には魔力がある。


その言葉と笑顔だけで、背中に電流が通ったみたいに私は、シャッキリと落ち着きを取り戻したのだ。

「は、ハイッ!」
「よし、出番だ…頼んだぞ」
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