狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
彼の持ち時間は、質問を入れての約30分。今のタイムは約半分の12分、リハどおり順調に進んでいる。
 
なんだ、余裕じゃん。

慣れてきた私は、よそ見する余裕さえできてきた。

スラスラと淀みなく原稿を読みあげる大神リーダー。
あ、前の人が欠伸した。そうそう、薄暗いし退屈だよねえ。
早くおわんねえかなって顔してる…

向こうのお姉さんは、内容そっちのけで、大神さんの顔ばっかり見てる。

格好良いよねえ、ホント。
私も、顔だけはタイプなんだけどなあ……

そんな、すっかり気が緩んでいた時だった。
会場でちょっとしたハプニングが起こったのは。

ザワワッ。

不意に後ろの扉が開いて、外の眩しい光が入り、にわかに会場ががざわめいた。

大神さんが読むのを止める。

「あ……」

純白のドレスに身を包んだ新婦サンが現れたのだ。

「す、すみませんっ、間違えましたっ」

ペコペコと頭を下げる介添えさんに、
ハハハと小さな笑いが起こる。

どうやら隣の結婚式場と、部屋を間違えたらしい。

介添えさんに手を引かれ、恥ずかしそうに頬を赤らめて、新婦サンは去っていった。
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