狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
1キロも走らないうちに、私は家からすぐの公園で休憩をとることにした。
中心にある池の傍(そば)のベンチに腰を下すと、ウエストポーチから朝ゴハンを取り出す。

「フー、やれやれ」
途中で寄ったコンビニで、大きさ重視で選んだ揚げパンだ。

パクリと一口。


ん~~、シアワセ。


それにしても分からない。
私には一体、何が足りないんだろ?

人より特別変わっているとも思わないし、容姿も性格も至って普通(だと思う)。
 
理想はまあ高い気もするが、妥協の用意はある。皆そんなものだろう。

そういえば昔、どこかのダレかさんに、“色気が無い”って言われた気がするな……

そうだよ、アイツだ。私にそれを言った張本人。
男クサイ業務課にありながら、ムダに色香を振り撒きまくっているうちのボス、大神秋人だ。

女子更衣室の噂では一日に4人と時間差でデートしたとかしないとか、総務にいるバイトさんは全部お手付きだとかなんとか……

もしかして、私の分のモテ運まで全てアイツが吸いとってるんじゃあないだろうか。

私は再び、揚げパンを頬張った。
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