狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
……コイツ、明らかに朝帰りだ。

シャツとネクタイだけは替えてるみたいけど、昨日と同じスーツだし。
 
思わずジロリと横を睨む。

お?

よく見たら頬に引っ掛かれたみたいなミミズ腫れがある。

さらに細かく観察すると……

呆れた。首のあたりに咬み痕まで!
 
この人は一体、オネエサン逹と夜な夜などんな愛を交わしているんだろう…
私に対する態度から、てっきりS男だと思っていたけど、意外にMっ気あるのかな。

そういえば誰かが言ってた、Sは同時にMでもあるってさ。

にしたって、世の中は不公平だ。


こんな“サイテー男”ばかりが持て囃されて、私みたいな真っ当な人には、恋愛運も仕事運も廻(めぐ)って来ないじゃないか。

あーあ、何だかムナしくなってきた…
 

「赤野、青!」
「うわっ、は、ハイッ」

にわかに助手席から怒号が飛んで、私は慌ててアクセルを踏んだ。



「で?……何見てんだよ、さっきから」
私の視線に気づいていたのか、彼はブスっとこちらを睨む。
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