狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
そういえばこないだの朝、公園でカチョーに泣く泣くその話をした。

さらには
『こうなったら私、仕事に生きる女になります!』
と宣言したのだが……

あの野郎、散々大笑いした挙げ句
『絶対にムリだ、諦めろ』
とあっさりダメ出ししやがった。
 
その上、“指導料だ”などとのたまって、私の朝ゴハンを毎回奪っていきやがる。

……チクショウ。


あ、そうだ。
今朝は珍しくカチョー、来なかったな。


古い社用車のクーラーがやっと効き始め、ちょうど冷えてきた頃に、大神カチョーと設計技師の平田さん、それから営業1課の菊池さんが連れ立ってやってきた。


今から私たちは、都心から少し離れた所にある公の研究施設に向かう。
去年1度、大神カチョーを乗せて入札の説明会に行った場所だ。

あの時の仕事をうちの会社が見事に落札したそうで、今日はその初打合わせに行くことになっているのだ。


にしても…

「………」
信号待ちに、助手席をチラリと窺うと、いつになく無口な大神カチョーは、ダラリとシートに寄っ掛かかっている。
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