狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
オタオタとアドレス交換を終えた後。

私はすっかり元気になって、さっき以上のお喋りで寺田さんを笑わせた。

建物まであと数百メートルに近づいた時だった。

「コラぁ~~、遅いぞ~~赤野‼‼」

あ、マズい……

聞き慣れた怒号が、遥か遠くから飛んできた!

目を凝らすと、うちの男3人が建物の外で待っている。打合せはとっくに終わっていたみたいだ。
 
「寺田さん、スイマセンっ。私、行かなくちゃ!」
この2年間で、スッカリ調教されてしまっている私の悲しいサガ。
寺田さんにペコリと頭を下げると、声に向かって全力疾走し始める。


「赤野さん、また連絡するから!」
大声に振り返ると、寺田さんが私に向かって手を振っていた。

私は1度立ち止まり、満面の笑みで両手をブンブン振り返した。
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