狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
私って
なんて間が悪いんだろう。

あんな話を聞いてしまった後で、『好きです』なんてとても言えない。

副社長の姪との縁談。

未だ一族人事が役員の半数を占めるこの会社で、大神さんの業績ならば、間違いなく役員までの超特急のレールが敷かれる事になる。

その手始めに、最年少支社長の椅子が用意されてるってワケだ。


副社長、ずっとカルいノリだったのに、最後の一言だけ、全然笑っていなかった。

大神カチョー、いつもは強気のオオカミさんが、それを見た途端尻尾を巻いたチワワのように小さくなった。

断れば多分………なんだろう。

それでなくても、ゆとり世代にあるまじき、ギットギトの野心を持つ彼に舞い込んだビッグチャンス。

棒に振るとはまず思えない。

 
それだけじゃない。
 
バイリンガルの帰国子女
身長170以上
モデル並みのスタイル
美人。

彼と並べて完璧な1枚の絵になるだろうその女性(ひと)と私。

どれを取っても

勝ち目はゼロだ。
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