狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「あ、ゴメンゴメン。
からかってるワケじゃなくて、これでも心配してんだよ?俺は」

私は慌てて非礼を侘びた。
「あ、ああ違うんです、スイマセン。
別に…怒ってるわけじゃなく…
ただね、自分が恥ずかしいと言うか…分かっちゃうもんだなぁ、って」 

私はポリリと頭を掻いた。

こんなコトになるんなら、却って言わなくって良かった。
“もしかして” の束の間の夢を見れただけでいいじゃないか……くすん。

目にホコリが入ったフリをして、滲み出る涙を拭いた。

すると三上さんは、長靴を荷台から降ろすのを止め、パンパンと手を払った。


「…まあね。気付いた時は手遅れってコトは、ままあるからね。
縁とか運命ってのは、案外デカいもんさ。要はタイミングなんだろうけどね…」 
「……ハイ」

冷めた彼の慰めに、頷いたまま項垂れた。

と、

トンッ。

突然、彼が私の肩を軽く突いた。

「⁉」
バランスを崩した私が、スチール棚の縁に寄りかかると、彼はニコリと微笑んだ。

 
「…さてと、やっと俺の出番だ」
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