狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
昨日も良く寝た筈なのに、不思議と全身が気怠い。

小1時間もベッドでゴロゴロした後に、何かオナカに入れようと、ようやくのっそり起き上がる。

ここ数日、ろくに買い物にも行かなかったから、当然のように冷蔵庫は空っぽ。

仕方なく近くのスーパーに出掛けることにしたのだが……

身支度すらおっくうだった私は、上下ジャージにスッピンを、コートと目深に被ったニット帽で隠して外へ出た。

(いつもはしないよ!こんなこと)



…………
スーパーで買い物を済ませた後。

この時期には珍しい日和に誘われた私は、あてもなくフラリフラリと歩いていた。 


……そういえばちょうど大神さんは、ホテルでお見合いしてる頃だな。

ロンドン帰りの帰国子女、才色兼美のお嬢様、か。
お似合いだよね、傍目には。

フッと虚ろな笑いが漏れた。


……あーあ、可哀想に。

きっと苦労するよ?“あの” カチョーのオクサンなんてさ。
ゼッタイに浮気するもんね。

副社長も大事な姪をよくあんな人に薦めるよね……どうかしてるや。

はっと気づいて、ブルブルと頭を横に振った。

ええい、考えるな私!もう関係のない事を。 
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