狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
イヤだ。
半時前ならいざ知らず、一刻も早くあなたの前から消え去りたい。

「っとあのぅ……折角ですけど。
き、今日はちょっと疲れましたし?
明日もあるので、よろしければリーダーお1人で…」

しかし彼は、青い顔でギロっと睨んだ。

「奢ってやるから付き合え。大体お前、俺に借りがあんだろが」

「え~~、さっきのでチャラだと思いますけどぉ~?」

とぼけた私に、彼はムッと皺を寄せた。
 
「ふ~~ん、そう。
あのイヤミ(=伊丹)課長への報告はどうすっかなぁ?赤野サンがやらかしましたって…言うしかないよなぁ、ヤッパリ。
ネチネチと2時間は下らないだろうなぁ」

お腹を押さえて額に冷や汗を浮かべながらも、チラリと私を見てほくそ笑む。

「ぐぅ……」

ひ、卑怯な!

「……決まりだな。
行くぞオラ、さっさと来い!」


彼はヨロけて立ち上がると、私の首根を引っつかみ、ズルズルと飲み屋街へ向かって引き摺っていった。

イヤだあああああ…

私の心の叫びなどまるで意に介さぬように。

アーメン。
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