狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
今日もチャイムとほぼ同時に、
ガサガサと袋からお楽しみの『新潟コシヒカリ イクラこぼし』なるオニギリを取り出して、
大事にビニールを剥いていた。

すると……

「なんだ赤野、またコンビニか」

出た。
背後ろから諸悪の根源、大神秋人が袋を覗き込んでいる。

「…そうですよ、ソレが何か?」
私はムッツリと返事した。

「いや、最近いつも部屋に居るな、と思ってさ。前はチャイム鳴っても戻ってこなかったのに」
 
助けてもらってナンですが。

誰のせいだ!

ささくれた心は、つい恨みがましくなっている。

「ええまあ…仕事がつかえてますのでネ」
素っ気なく言い、キレイに剥けたオムスビにパクつきかけた。

と、
「ふぎっ⁉」
急に首に圧力が苦しくなり、オムスビが口から遠ざかる。

「嘘をつけ、オマエにそんなに仕事を与えた覚えはない。
飯行くぞ。A定までなら奢ってやろう」

「わわっ!私はこれからイクラちゃんを…」
「オヤツに回せ」
 
猫の子みたいに首根っこを掴んだ強引王子は、抵抗の甲斐もなく私を引きずっていく。
< 51 / 269 >

この作品をシェア

pagetop