七夕のキセキ~七夕から始まる恋の魔法~
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しばらくして、蒼が部屋に入ってきた。

「兄ちゃんちょっといい?」って…。

蒼は一人で灯はいなかった。

俺の横に座った蒼は数分何も言わなかった。

俺と過ごせる短い時間を大切にしようとしているのだろうか…

それとも純粋に言うこと頭の中でまとめてるだろうか…

蒼は後先考えずにものを言ったり行動するようなヤツじゃないことは知っている。

俺は…そんなこと出来ないし、思い立ったらすぐに行動してしまう方だ。

言ってから後悔して来たことも多々ある。

それが原因で彼女と別れたりもしてきたんだ…。

けど、これが俺の性格。直そうと思っても中々直らない。

と言うより、俺はバカだからそのときは落ち込んでもすぐ忘れちゃう。

だから、直らないのかもしれない…。

そんなことを考えてたとき、

「兄ちゃん…」と声をかけられた、ふと、意識が蒼に向いた。

「兄ちゃん、灯のこと、好きだよね?」と単刀直入な蒼。

一瞬凍りそうになった。

やっぱりバレてたか…。ってそうじゃなくて…

「うん。お前には申し訳ないけど…お前がいなくなって、灯を慰めていくウチに好きになってる自分がいた…」

俺は正直にそう話した。

「去年は、灯の願いが叶いますように…って書いたよね?」と蒼は言った。

けど…叶わなかったよ?

「忙しくて来れなかったんだよ。いくつかの条件があってさ。今年も同じこと書いてくれたから、来たんだけどね…」と蒼は言った。

俺はなにも言えない。

「灯もね、俺に申し訳ない気持ちがあるらしくてね…けど、灯にもちゃんと話してきた。前を向いて欲しいって。俺はもうこの世に存在出来てないんだよ?いつまでも俺のこと引きずらなくていい。兄ちゃんと灯はちゃんとお互いのことを向き合って話し合うべきだと思うんだ…」と蒼は言った。

蒼…お前はホントに…

ありがとな…。

そう言うと、嬉しそうに笑って

「じゃあ早速話し合おう」と蒼は言って、俺の腕を掴み、リビングまで引っ張っていった。
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