Tower of Fantasy

突然の別れ

一気に森を駆け抜けて、木がほとんどないところまでやってきた。

そこで一行はやっと休憩をとることにした。


「レッドスライムは、燃えやすいんじゃ。油なんぞかけたら爆発するに決まっておろう」


飄々というジェフェルスに、リューロはブチっとキレた。


「決まっておろうとかしらねぇよ!言わなかったのおっさんじゃねぇか!」


「聞かなかったのはそっちじゃろう」


「倒すにはどうすりゃいいか聞いてたじゃねぇか!」


「燃やせばよいと言ったじゃろう」


「大体超燃えてんのになんで逃げねぇんだよ!」


「見物したかっただけじゃ」


「死ぬ気かよ!」


「放っておけばよかったであろう」


「ほっとけるか!くそ、おっさんのせいでヘトヘトだよ」


「鍛錬が足らんのじゃ、それに頼んでおらんわい」


ああ言えばこう言うジェフェルスに文句を言うのに飽きたリューロは、サーラが見つめている方向をみた。その方向は–––故郷。


「私のせいで…村にまで炎がいってたらどうしよう…」


煙はまだなおもくもくと上がっていた。


「大丈夫だよ…それに、もし火事になったとしても、みんなちゃんと逃げれるさ。アレフ師匠だっているんだし」


「私のせいだわ…」


「いや、勉強を怠っていた俺らのせい。一人で抱え込むな」


リューロは、しゅんとしているサーラの頭を優しく撫でた。


「ごめんね、リューロ…もう大丈夫」


気を取り直したサーラにリューロはホッとした。


「さて…わしはそろそろ行くかの」


と、突然ジェフェルスがつぶやいた。


「行ってしまうの?」


「あぁ。ここをまっすぐ行けば、レクトという街があるはずじゃ。そこに行くんじゃろう?」


「ええ。ありがとう、ジェフェルス」


「気をつけるんじゃぞ」


「あなたも」
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