Tower of Fantasy
。*.*リューロside*.*。


「…ぷはぁ」


まだ、帰ってこねぇ。

サーラがいないと、俺はずっとこの調子だ。


「リューロ…あんた、飲み過ぎだよ…」


「っるっせぇな、マゼルダ。金は払ってんじゃねぇか。お代わり」


「サーラちゃんが連れ去られてからずっとこの調子だねぇ…探しに行かないのかい?」


「ずっと言ってんじゃねぇか。手がかりがないんだよ」


「最初の半月、ずっと探していたのにねぇ。あのデカブツ2人、あんたに愛想つかしちまってたよ」


「出て行ったのか」


「そりゃあ、冒険者は同じところでじっとしているのが苦手だしねぇ…あの2人、あんたが諦めてから今まで、ずっと探してくれてたんだよ?」


「そうか。随分諦め悪りぃな」


「連れ去られてから、3ヶ月半か…」


「俺、あいつにちゃんとレクトに帰って来いって言ったし。信じてるから」


「…」


信じてるってのは建前で、マゼルダもそれが分かってる。俺はサーラがいないとやる気が出ない。


「…ねぇ。そこのあなた」




うわ、びっくりした。なんだこの女。ファイターのカウンターになんでこんなヒラヒラしい女がいるんだよ。


「あなた、素敵ね。私とパーティ組まない?」


「お前誰」


「私はリフレット=マーチス。職業はエレメンタラー(精霊使い)よ」


「エレメンタラー?」


「精霊の力を借りて魔法を使うの」


「あ、そう」


「嫌?」


「俺今やる気でねぇの」


「いいわ、一緒にいてあげる」


なに言ってんだ?この女。


「ふふ、あなたとパーティ組みたいの。その気になるまで一緒にいるわ。ファイターなんでしょう?」


「あぁ…」


「名前は?」


「…リューロ=リクス」
< 20 / 69 >

この作品をシェア

pagetop