Tower of Fantasy
。*.*サーラside*.*。


ルイスとパーティを組んで1ヶ月。私たちは砂漠を通らないルートを通ることにし(なんせ砂漠にはかなり強いモンスターが出るらしい!)、準備をして出発した。

(モンスターに襲われたことを除けば)ほとんど何事もなく、順調に進んでいたのだが、今日問題に直面した。


「–––ここを通りたければ、私を倒して行け」


そう綺麗な声で告げて、この砂漠迂回ルートの道をふさいでいる、10歳くらいに見える眠たげな目をした可愛らしい少女がいた。彼女はかなり強い魔法使いらしく、彼女が道をふさぎ始めてから誰も通れなくなったのだ。


「どうする?」


「そりゃ…倒していくしかないじゃない…1ヶ月かけてここまできたのに…戻れるわけないわ!」


「–––1人ずつ、お相手しよう」


「じゃあ…私から」


私は持ち前の瞬発力で彼女に飛びかかった。何人もの冒険者を退けているんだから、油断はできない。


「『炎焔其雷、斬り裂け』」


その詠唱を聞いたルイスはぎょっとした。


優秀な魔法使いでも、魔法を行使するために詠唱を行う。

これは魔力を練り上げるための呪文だ。

そしてこの半眼の小さな少女の詠唱は、長い詠唱の一部分だけを詠みあげるかなり難しいものだった。

詠唱を短くする分威力は落ちるが、詠唱という魔法使いの弱点をカバーする最強の技術をこの少女はマスターしている。


「『サンダーフレーム』!」


「わわッ…!」


呪文を紡いだ彼女のロッドから盛大に炎が吹き出した。

けどっ…


「…遅いっ!」


「なっ…」


私は彼女の後ろに回り込んで、首に剣を当てた。


「…これでいい?」


「…降参だ」


「じゃあ次俺だな」


ルイスはコキッと肩を鳴らして…消えた。


「なっ…!どこに…」


「ここだよ、お嬢ちゃん」


と、ルイスも彼女の喉元に剣を突きつけた。


「あなたたちは…。私を、連れて行ってくれないか?」


「は?!」


「…どうして?」


「私は、山火事から逃げてきたエルフだ」


そう言って、彼女は長いシルバーブロンドの髪をかきあげ、私たちに耳を見せてくれた。


「長い耳…」


「エルフなんだ…」


「そうだ。1年前山火事が起こり、私は命からがら逃げ出した。そして仲間を見つけるために力をつけて、共にいてくれる仲間を探すためにここにいたんだ」


「そうだったの…私たちと一緒にくる?」


「いいのか?」


「いいぜ。協力してやるよ」


「よかった…私はアクア」


「私はサーラ。よろしく。」


「俺はルイスだ。よろしくな」
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