Tower of Fantasy
気を取り直し、部屋に入った。


「ここは…」


入った瞬間、全員が息を飲んだ。

美しい装飾が施された部屋。

枯れることなく美しく咲き誇っている赤、白、ピンク、黄色の薔薇の花束がたくさんの花瓶に生けられていた。


「綺麗…」


白を基調にした部屋の中央には天蓋付きのベッドが置かれ、周りには薔薇の花びらが散っていた。


サーラはそっとベッドに近づいた。

そこには同い年くらいの綺麗な少女が眠っていた。

美しい黒髪、白い肌。白いドレスを着て眠る彼女は、女でも見惚れてしまうほど美しかった。


「あなたは…誰?」


サーラがそう呟いた瞬間。

ベッドの周りに散っていた薔薇の花びらがふわっと舞い上がり、一輪の薔薇になった。


「これは…」


ルイスが驚きその赤い薔薇を見つめる。

「時間凍結魔法…私達が入ることによって、解除されたようだ…」


アクアがそう呟いた。


「目を覚ますわ…」


サーラがそう呟くと、ベッドに横たわる少女の瞼がぴくっと動いた。

そしてゆっくり目を開ける。

長い睫毛の下から、驚くほど美しいエメラルドグリーンの目が現れた。


「あなた…」


そう呟いた少女の声はとても美しく。


「美少女に見せかけて実は美少年ですとかいうオチないの…?」


その言葉は色々と台無しだった。
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