Tower of Fantasy
「…私は女ですよ?」


「そう…王子様が目を覚まさせてくれるとか夢見てたのに…」


ふうっ…とため息をつく彼女はとても美しいが、言葉がなんか色々と残念だった。


「まぁいいわ…。私はローゼ=カローラ=レザンソバージュ。あなたがたは?」


「私はサリスティー=グローシア=セレスディア。サーラと呼んでください」


「私はアクア=ウェルヒート。エルフだ」


「俺はルイス=アージェン=ビルフィセル」


ローゼは全員の名前を口の中で二、三回呟き、微笑んだ。


「よろしく。サーラ、アクア、ルイス」


「あの…ローゼさん」


「ローゼでいいわよ?仲良くなりたいもの」


「分かった、ローゼ。あなたは…この部屋はいったい何なの?」


ローゼはハッとして飛び起きた。


「そうだわ!説明しなくてはならなかったのに…」


ローゼはおっちょこちょいのようだ。


「私はレザンソバージュ王国の姫。薔薇姫と呼ばれていたわ」


「レザンソバージュ王国…?」


不思議そうにしているサーラたちを見て、ローゼは首を傾げた。


「知らないの?レザンソバージュはかなりの大国のはずなのだけど…」


そう言ってベッドから降り、ベッド傍に置いてあったヒールを履いて窓のところまで歩いて行き…、

外を見た。


「え…?」


ローゼは固まった。

そして、ぽろっと涙を流した。


「お父さま、お母さま…。この国は…本当に、滅びてしまったのね…」


「ローゼ…」


サーラたちはどうすればよいかわからなかった。


「…ごめんなさい、取り乱してしまって…。こうなっているかもしれないと、言われていたのに…」


ローゼが悲しそうに言った瞬間。


「ウガァァァァァアアア!!」


破壊された部屋の扉の前に、モンスターが現れた。


「生き残りね…じっとしていれば生き残れたのに。…行くよ」


サーラはそう言ってロングソードをすらっと抜き、3秒で討伐した。


「…あのモンスター、超強いやつじゃん」


ルイスの呟きは、次のモンスターの叫び声にかき消された。
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