したたかな彼女

「おまたせ」

芳樹がオムライスを持ってきた。

彼の作ったオムライスは、チキンライスを包みこむたまごの中身がふんわりしていて、口の中でとろけた。
トマトケチャップとライスとたまごの絡み具合がいい。


「おいしい! すごい! お金はらってもいいよ!」

まりえはそう喜んだ。



「だろ?」

芳樹は照れくさそうに威張った。

眠たくてずっと笑っている芳樹がかわいいと志保は思う。



「今度作り方教えてよ~!」


「企業秘密だよ」

まりえはかわいい。
人と接するのが上手だと思う。


さっきから志保は心の中で色々と考えているだけだ。

彼女が話題に入れないのは、二人の会話にイライラするからだ。

結局それが悪循環なのかもしれないけど、どうしても“おししい”以外は話せないでいた。


< 38 / 57 >

この作品をシェア

pagetop