例えば星をつかめるとして
「……私の家は星野の家じゃないから帰れないよ。泊めてあげられるスペースもないからそれは無理です」
「え? そうなの?」
そうなの?じゃないから!と叫びたくなる。想像以上に感覚がずれていて心配になるレベルだ。早急に色々なことを叩き込まないと大変なことになる気がする。
「どうしよう。松澤さんの家には帰れないのか。どうしよう……」
うーん、と唸り声をあげながら、星野は考え込んでいる。こうもずれている星野を一晩どこかで過ごせと放り出すのも心配だけど、うちは無理だろう。友達が泊まりに来たと言ったとしても無理がある。男なんてうちにあげたことすらないのに泊めるなんてもってのほかだ。せめて女の子ならよかったのに。何で私の遺伝子読み取ってるはずなのにこいつ男なの?
道の真ん中で二人、うんうん唸りながら悩み込む。学校のある大きな街じゃないので人通りも少ないから済んでいるが、異様な光景だろう。
特に星野なんて悩みすぎて唸り声が苦しげにすらなってきてるし……ってあれ? ほんとに苦しそうじゃない? なんか死にそうじゃない?
「ううう……」
間違いない。俯くの星野の口から漏れる音は悩んでいる時に出るそれのレベルを超えている。さらによく見ると、彼の手は腹の辺りを押さえている。
「ちょ、どうしたの星野!? お腹痛いの!?」