例えば星をつかめるとして
慌てて覗き込むと、青ざめた顔の星野にがっちりと腕を掴まれる。その力強さに驚くよりも先に、星野は深刻そうに口を開いた。

「松澤さん、身体に異常事態が起こってるみたい……この身体を維持するのはもしかしたら無理かもしれない……」

「は!? 一体どうしたの!? 何が起きたの!?」

「やっぱり仮初の身体は偽物でしかなかったってことかな……ははは、死ってどんなものなのかな……」

星野の土気色にも近い顔色に、かなりやばいんじゃないかと私の不安も煽られる。

「ちょ、ちょっと早まらないでよ星野。とりあえず落ち着いて、原因を……」

あんまり落ち着けていない私が、自分を棚にあげて星野を落ち着けようと声をあげた、その時のことである。

ぐうううううう、という、なんとも間抜けな音が、すぐ近く──それも下の方から、響いた。

「……ん?」

ぐうううううう。もう一度、絞り出すような音が鳴る。いやに馴染みのある音だ。だってそれもそのはず。

「松澤さんどうしよう……腸のあたりがね、絞られてるみたいでね、おかしいんだ」

星野の腹から響くその音は、油断していると4時間目辺りになってしまう、あれに酷似している。
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