例えば星をつかめるとして

「えっと……星野、昼ごはん食べた?」

そう聞きながら、昼休みは私がこいつを呼び出したことを思い出す。私は教室に帰って真理とお弁当食べたけど、星野は屋上に残っていたのではなかったか。

「ごめん、もしかして私のせいで食べる時間なくなっちゃった? 購買売り切れてたとか?」

一抹の罪悪感を抱えながらそう言うと、予想に反して星野は不思議そうに首を捻る。

「昼ごはん?は食べてないけれど……まだ必要ないんじゃないの? だって、まだこの星の公転周期の半分も経ってないんだよ?」

「……ん?」

予測の範疇を超えた言葉に、一瞬、理解が遅れた。

この星の、公転周期。地球が太陽の周りをぐるりと一周するのにかかる時間のことだ。つまり、一年間。……ん?

「ちょっと待って。てことは何も食べてないの!? 地球来てからずっと!?」

「え? うん。食事ってエネルギー補給でしょ? まだ必要ないかと思って」

「いやいるから! 半年間何も食べないで過ごせるわけないでしょ!? あんた私の知識コピーしなかったの!?」

「おお……、松澤さんすごくキレのあるツッコミだね」

「なんでそんないらん言葉は知ってるのに食事の頻度知らないの!?」

星野の天然っぷりに愕然とする。私がついノリノリでツッコミをしてる間にも、彼の腹の虫は盛大に鳴り続けている。
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