涙ーありがとうを君にー


「さんきゅ」

琥珀はそれだけ言うと、
目を閉じて溜め息をはく。
「相当辛いんじゃない?

あんたが静かって事は」

瑠璃の言葉に苦笑する。

布団を敷き終ると、
琥珀を布団に横にさせる。
「なあ、手の手当したか?」

ギクッと、肩を竦める瑠璃に琥珀はさらに追い打ちをかける。

「俺が気付いてないと、
思ったの?

机の横の棚に救急箱あるからとって。

俺がやってやる」

言い逃れの余地がないと、悟った瑠璃は諦めて、
救急箱を持ってくる。

「自分でやるから、
琥珀は寝てなさい」

そういって、
黙々と手当をしていく。

それを琥珀は、
眠らずに眺めていた。

「…包帯は出来ないだろ?
貸してみ?」

瑠璃は、少し迷うそぶりを見せる。

「ほら、はやく」

渋々琥珀に包帯を渡す。

「お願い」

小さい声で呟く。

「どう致しまして。

こんくらい、
横になってたって余裕だから、
大丈夫だよ」

するすると、包帯を巻いていき、
あっという間に巻き終る。
「ありがと…

林檎か何か食べる?」

瑠璃が尋ねる。

「うん。食べたい」

琥珀が頷く。

「ちょっと待ってて」

そういって瑠璃は部屋を出ていった。
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