涙ーありがとうを君にー


瑠璃は再び、
林檎とタオルと水の入った桶を抱えて、
琥珀の部屋に戻ってきた。
部屋に来る前に部屋着に着替えた瑠璃は、
そおっと、
琥珀の部屋に入ると、琥珀は目を閉じて眠っていた。
琥珀の枕元に、
水桶をおく。

琥珀の額や首筋には汗が流れていた。

タオルを水に浸し、
汗を拭う。

「…………」

琥珀が目を開けた。

「やっぱり急に熱でてきたよ。

今晩は私が診てるから、
ゆっくり寝て?

林檎持ってきたけど、
寝て起きてからにする?」

瑠璃はそっと、聞く。

「そうする。

……一緒に寝よう」

琥珀は熱で目が潤んでいた。

その目でお願いされたら、流石の瑠璃も断れない。

「…ったく。

仕様がないなぁ。

布団押し入れに入ってたよね?」

瑠璃の言葉に琥珀はすごく嬉しそうな顔をする。

押し入れから布団を引っ張り出して琥珀の横に横になる。

「ほら、これでいいでしょ?

電気消すね」

そういって瑠璃は電気を消した。

「…手…」

ボソッと琥珀が呟く。

「ったく、はい。

ほら、寝よ?」

手を繋いで二人は眠りに就いた。




その後、
しばらくして霄が部屋を覗くと、
瑞穂と湖咲のように手を繋いで額を合わせて眠る、
あどけない寝顔の少年少女がいた。

「…やっぱり兄弟だなぁ」

静かに襖を閉め自室へ向かう霄であった。
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