涙ーありがとうを君にー


下校する為、

瑞穂は親友の神谷結衣(かみやゆい)と一緒に廊下を歩いていた。

結衣は瑞穂や湖咲の家の事も知っている貴重な人物だ。

 「瑞穂っ」

と、背後から呼び留められる。

振り返ると、そこには走ってきたらしい湖咲と

湖咲の親友の遠山直樹(とおやまなおき)が立っていた。

彼も数少ない瑞穂達の家の事を知っている人物だ。

 「ふっ二人ともどうしたの!?」

と、瑞穂は目を見開く。

黙ったまま、湖咲は瑞穂の手をひいて廊下の隅に隠れる。

後ろからは、結衣と直樹もついてきた。

 「御祖父様達が今日の夕方いらっしゃるらしい。

だから、速く帰ってこいって、今父様から連絡があった…」

と、瑞穂達にだけ聞こえるように話す。

 「ってことで、ごめん。

先に帰る。

直樹、ちゃんと送ってけよ」

 「おー」

と、気の抜けた返事を返す。
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