涙ーありがとうを君にー


  翌朝、二人は学校へ行く為、家の門をくぐる。

すると、二人は同時に門をくぐったらしく、目が合う。

二人の門はバラバラだが、家はつながっていないわけではない。


 簡単にいえば、一つの敷地の中に家が二軒建っていて廊下で二軒の間にある道場を兼ねる建物があるのだ。

 外からみると、二軒でも、実際は一軒と言っても過言ではないのだ。




「…はよ」

と、湖咲が目を逸らしながら言う。

「おはよ。

しっかし、毎度の事ながら今回も見事にやられたねえ」

と、瑞穂はまるで他人事のように答える。

「ほんとだよ…ったく、今度は何企んでんだ…?」

と、漸く瑞穂と目を合わせて話す。



「「ってか、寝てないの??」」

と、綺麗にハモる。


 二人は顔を見合わせて笑った。

何時だって、

二人は御祖父様方の命令に驚かされ、

眠れず、

隈をこしらえた顔を見合わせて笑うのだった。



 そして、二人は並んで今週最後の学校へと向かった。



 …二人はまだ知らなかったんだ。

自分の本当の気持ちに…。
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