もう一度君に会えたなら
 このままでだめなのは分かっていたが、どうしたらいいのか分からなかった。川本さんがどんなにいい人でも、彼が川本さんの父親と分かれば、付き合うのも反対されるだろう。

 川本さんのお父さんはなぜそこまでわたしのお父さんを恨み、どうしたいと思っているのだろう。

「ここだよ。お母さんがおいしいと言ってたんだ」

 榮子はまだ真新しいカフェを指さした。カントリー調の建物が、辺りの街並みと一線を画していて、存在感を与えていたのだ。扉を開けると、鐘の音が店内を流れるクラシック音楽に溶けいった。すぐに白いエプロンをした店員が入り口までやってきた。

 わたしはその店員の顔を見て、驚きの声をあげた。それは彼女も同様だ。彼女は川本さんの幼馴染の江本さんだったからだ。

「ご案内いたします」

 彼女は笑みを浮かべると、わたしたちを奥の席に案内した。そして、わたしたちはおいてあったメニューからそれぞれ注文する品を決めた。少しして江本さんが水を手に戻ってきた。

「ご注文は何になさいますか?」

 わたしと榮子がケーキセットを頼むと、彼女は手持ちのメモにそれを書き記した。
 その手が止まるのを見計らい、榮子が口を開いた。

「二人は知り合いなの?」
「彼女の彼氏の幼馴染」

 そうさらっと答えたのは江本さんだ。

「幼馴染」

 榮子はじっと彼女を見た。

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