もう一度君に会えたなら
 わたしは小太郎様とお父様の間に割って入った。
 お父様は慌てた様子で刀を引いた。

「わたしが彼らをそそのかしました。罰するならわたしを罰してください。わたし以外の誰にも責任はありません。もちろん、義高様にもです」

 わたしはお父様を睨んだ。
 手足が震えてたが、できるだけそれを顔に出さないように努めていた。
 お父様はわたしを睨むと、そのまま部屋を出て行った。

 わたしはその場に座り込んだ。
 お父様に知られてしまった。手を尽くして義高様を探そうとするだろう。
 義高様は今頃、どこまで行かれているのだろう。

「姫様、お怪我は?」
「平気よ。でも、義高様が」
「義高様はきっとうまく逃げられております」

 小太郎様は自らに言い聞かせるかのようにわたしにそう伝えた。



 だが、それから数日後、義高様がお父様の追っ手に殺されたとの一報が届いた。
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