もう一度君に会えたなら
「意地悪を言って悪かった。分かった。かといって店に来てもらうのもあれだから、とりあえず携帯の番号でも交換しようか」

 彼はそういうと携帯を取りだした。
 わたしは二つ返事で彼と番号を交換した。

 わたしはベッドに寝ころびながら、携帯の番号を表示した。
 あの人の番号を手に入れらるなんて、なんていい日なのだろう。
 これであの人にいつでも連絡が取れると思うと、不思議と顔がにやけてきてしまった。

 ただ、問題はどうやって連絡を取るかだ。さすがに世間話でもしようものなら、迷惑をかけてしまう。

「せめて同じ高校だったらな」

 おそらく中学三年のときに、同じ高校を受けると言えば、両親は許可してくれただろう。だが、それも今となっては後の祭りだ。

 それでも一歩前進したのだと言い聞かせ携帯を閉じたとき、ドアがノックされた。
 部屋の外に出るとお母さんが立っていた。

「ごはんよ」

 わたしはお母さんと一緒にリビングに戻った。すると、そこにはいつの間に帰ったのかお父さんの姿もあった。
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